株主総会議事録の完全マニュアル:書き方とテンプレート
株主総会議事録は、企業が株主総会で決定された重要な事項を正式に記録するための文書です。この議事録は法的に保存する義務があり、企業の透明性と信頼性を保つために不可欠です。本記事では、株主総会議事録の書き方とテンプレートについて詳しく解説します。
株主総会議事録とは
定義と役割
株主総会議事録は、株主総会で議決された事項や会議の進行状況を記録した文書です。これにより、株主や関係者は後に議事内容を確認できるほか、法的な証拠としても利用されます。議事録の作成は会社法で義務付けられており、企業のガバナンスにおいて重要な役割を果たします。
法的義務と重要性
日本の会社法第318条に基づき、株主総会議事録の作成と保存は法的に義務付けられています。議事録は総会終了後、10年間本店に保管する必要があります。この義務を怠ると、罰則が適用されることがあります。
参考:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086
議事録は法的な証拠としても重要です。裁判などで総会の決議や発言内容が問題となった場合、議事録が唯一の証拠となることが多いです。したがって、正確かつ詳細に記録することが求められます。
株主総会議事録の記載事項
株主総会議事録には、以下の事項を記載する必要があります。
開催日時と場所
議事録の冒頭には、株主総会が開催された日時と場所を明記します。リモートでの参加があった場合、その参加方法も記載する必要があります。
例文
日時:2024年7月29日 午前10時00分
場所:東京都千代田区〇〇会議室
出席者の氏名
株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人の氏名を記載します。これにより、議事に参加した全ての役員が明確になります。
例文
出席取締役:山田太郎、鈴木花子
出席監査役:田中一郎
出席会計参与:佐藤次郎
議事の経過と結果
株主総会での議事の進行状況や最終的な決議内容を記録します。この部分には、報告事項、質疑応答、議案の審議、採決結果などを簡潔にまとめます。
例文
1. 議事の経過の要領及びその結果
・報告事項
– 2023年度事業報告
– 2023年度決算報告
・質疑応答
– 株主からの質問に対する回答
・決議事項
– 第1号議案:取締役の選任について
賛成多数により承認可決
議長の氏名
株主総会の議長が存在する場合、その氏名を記載します。通常、議長は代表取締役が務めることが多いですが、定款により別の者が選任される場合もあります。
例文
議長:山田太郎
作成者の氏名
議事録を作成した取締役の氏名を記載します。これは、議事録の信頼性を保証するために重要です。
例文
議事録作成者:鈴木花子
株主総会議事録の書き方
基本的な書き方
株主総会議事録の書き方には、一定のフォーマットが存在します。以下は、一般的な書き方の例です。
例文
株式会社〇〇 定時株主総会議事録
日時:2024年7月29日 午前10時00分
場所:〇〇会議室
出席取締役:山田太郎、鈴木花子
出席監査役:田中一郎
出席会計参与:佐藤次郎
議長:山田太郎
1. 議事の経過の要領及びその結果
・報告事項
– 2023年度事業報告
– 2023年度決算報告
・質疑応答
– 株主からの質問に対する回答
・決議事項
– 第1号議案:取締役の選任について
賛成多数により承認可決
議事録作成者:鈴木花子
具体例とテンプレート
実務で使用するためのテンプレートを提供します。このテンプレートは、株主総会議事録の基本的な記載事項を網羅しています。
テンプレート
株式会社〇〇 株主総会議事録
日時: [年][月][日] [時][分]
場所: [会場名]
出席取締役: [取締役氏名]
出席監査役: [監査役氏名]
出席会計参与: [会計参与氏名]
議長: [議長氏名]
1. 開会の辞
議長が開会を宣言し、議事を開始。
2. 議事の経過の要領及びその結果
・報告事項
– [報告内容]
・質疑応答
– [質問と回答]
・決議事項
– 第[号]議案:[議案内容]
賛成多数により承認可決
3. 閉会の辞
議長が閉会を宣言し、総会を終了。
議事録作成者: [作成者氏名]
追加例文
例文1
株式会社〇〇 臨時株主総会議事録
日時:2024年7月29日 午後2時00分
場所:〇〇会議室
出席取締役:田中一郎、山本花子
出席監査役:鈴木次郎
出席会計参与:佐藤三郎
議長:田中一郎
1. 開会の辞
議長が開会を宣言し、議事を開始。
2. 議事の経過の要領及びその結果
・報告事項
– 新規事業計画の報告
・質疑応答
– 株主からの質問に対する回答
・決議事項
– 第1号議案:新規事業計画の承認について
賛成多数により承認可決
3. 閉会の辞
議長が閉会を宣言し、総会を終了。
議事録作成者:山本花子
例文2
株式会社〇〇 定時株主総会議事録
日時:2024年3月31日 午前10時00分
場所:オンライン会議
出席取締役:松本太郎、加藤花子
出席監査役:林一郎
出席会計参与:藤井次郎
議長:松本太郎
1. 開会の辞
議長が開会を宣言し、議事を開始。
2. 議事の経過の要領及びその結果
・報告事項
– 2023年度事業報告
– 2023年度決算報告
・質疑応答
– 株主からの質問に対する回答
・決議事項
– 第1号議案:取締役の選任について
賛成多数により承認可決
– 第2号議案:監査役の報酬について
賛成多数により承認可決
3. 閉会の辞
議長が閉会を宣言し、総会を終了。
議事録作成者:加藤花子
押印の必要性と実務
法的な要件
法律上、株主総会議事録に押印する必要は基本的にはありません。しかし、実務上は多くの企業で押印が行われています。押印により、議事録の信頼性と正当性が確保されると考えられています。
実務上の慣行
多くの企業では、議長(代表取締役)と出席取締役が議事録に押印します。議長は法人印を、出席取締役は個人の認印を押印することが一般的です。
議事録作成者:鈴木花子(認印)
議事録の保管
保管期間と方法
株主総会議事録は、本店に10年間、支店に5年間保管する必要があります。これに反する場合、100万円以下の過料の対象となります。
参考:https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086/20230614_505AC0000000053
保管場所の重要性
議事録は重要な法的文書であるため、適切に保管される必要があります。保管場所は本店と支店の両方に設定し、紛失や破損を防ぐための対策を講じることが重要です。
例文
株主総会議事録は、2024年7月29日から10年間、本店に保管されます。
電子化した株主総会議事録
電子化のメリット
電子化することで、保管スペースの削減や検索機能の向上などのメリットがあります。また、リモートワークの普及により、電子化がますます重要視されています。
電子化の法的効力
会社法では、株主総会議事録を電子的に作成・保管することが認められています。電子化した議事録も法的効力を持つため、適切に管理することが求められます。
例文
議事録はPDF形式で作成され、クラウドストレージに保管されます。
株式譲渡承認における議事録
必要性とリスク
株式譲渡承認に関する株主総会議事録は、商業登記申請や裁判上の証拠として重要です。適切に作成されていない場合、法的なリスクが生じる可能性があります。
具体的な記載方法
株式譲渡承認に関する議事録の具体的な記載方法は、以下の通りです。
株式会社〇〇 株主総会議事録
日時:2024年7月29日 午前10時00分
場所:〇〇会議室
出席取締役:山田太郎、鈴木花子
出席監査役:田中一郎
出席会計参与:佐藤次郎
議長:山田太郎
1. 株式譲渡承認の件
– 株主Aからの株式譲渡承認申請について議論
– 賛成多数により承認
議事録作成者:鈴木花子
まとめ
株主総会議事録の作成は、企業の透明性と信頼性を保つために重要です。法的要件を満たし、実務上の慣行を踏まえた適切な議事録を作成することで、企業のガバナンスを強化しましょう。本記事で紹介したテンプレートや具体例を参考に、正確な議事録作成に役立ててください。