商品券は経費にできる?用途別の会計処理と税務上の注意点を徹底解説

福利厚生や販促、取引先への贈答など、企業活動における商品券の活用シーンは多岐にわたります。
しかし、会計・税務処理においては「本当に経費として落として問題ないの?」「どの勘定科目で処理すべき?」と悩む経理担当者や経営者も多いでしょう。
本記事では、商品券を経費として購入・使用する際の処理方法と注意点を、用途別にわかりやすく解説します。
会計処理の仕訳例や、消費税・景品表示法などの関連法令の観点もカバーしています。
商品券は経費にできる?基本的な考え方

結論から言えば、商品券は用途によっては経費計上が可能です。
ただし、現金同等物として扱われるため、税務署のチェックポイントになりやすい取引でもあります。
用途によっては、以下のように処理の仕方や税務リスクが異なります
用途 | 主な勘定科目 | 税務上の注意 |
福利厚生・社内表彰等 | 福利厚生費 | 高額だと給与扱いのリスク |
取引先への贈答 | 交際費 | 年間上限・帳簿記録が必要 |
販売促進(キャンペーン) | 広告宣伝費 | 景表法の上限規制に注意 |
【用途別】商品券の会計処理と税務のポイント
従業員への福利厚生・インセンティブ
🎯 利用例
- 年末年始の慰労
- 永年勤続・誕生日・結婚祝いなど
💼 勘定科目
- 福利厚生費
💡 税務・法的な注意点
- 全社員に一律・公平に支給すること(特定個人のみだと給与課税の可能性あり)
- 社内規定(就業規則・慶弔規定など)に明記されていることが望ましい
- 1人あたり5,000円以内が目安(超えると給与課税対象となる可能性)
📌 法的補足(所得税法)
商品券の支給が給与とみなされると、源泉徴収義務が生じます。
取引先への贈答品(お中元・お歳暮など)
🎯 利用例
- 商談成立の御礼
- 定期的な季節挨拶(お中元・お歳暮)
💼 勘定科目
- 交際費(または贈答品費)
💡 税務・法的な注意点
- 1件ごとの金額・相手先・目的の記録が必要
- 中小企業の場合、年間800万円まで損金算入可能(法人税法上の特例)
- 個別具体的な接待や贈答は、基本的に交際費扱い
📌 法的補足(法人税法第61条)
交際費として扱うには、支出の内容が明確に帳簿に記録されている必要があります。
キャンペーンや懸賞・SNSプレゼント
🎯 利用例
- 購入者への抽選キャンペーン
- SNSフォロー&リツイートでのプレゼント企画
- アンケート回答者への謝礼
💼 勘定科目
- 広告宣伝費
💡 税務・法的な注意点
- 明確な販売促進目的であることが必要
- 応募・当選履歴などの証拠を残すこと
- 景品表示法に基づく景品類の上限規制あり:
- 取引額1,000円未満 → 景品上限は200円
- 取引額1,000円以上 → 景品上限は取引額の20%まで
役員への支給
💼 原則
- 役員に対する商品券の支給は原則「役員報酬」扱い
- 損金不算入(法人税法34条)
💡 注意点
- 福利厚生ではなく「個人への経済的利益」とみなされる
- 支給額が少額でも、報酬に含めて処理が必要
会計処理の具体例|仕訳の仕方
用途 | 勘定科目 | 仕訳例 |
従業員への支給(現金払い) | 福利厚生費 | (借方)福利厚生費 50,000円/(貸方)現金 50,000円 |
キャンペーン用(クレジット購入) | 広告宣伝費 | (借方)広告宣伝費 30,000円/(貸方)未払金 30,000円 |
取引先への贈答(銀行振込) | 交際費 | (借方)交際費 20,000円/(貸方)普通預金 20,000円 |
消費税の取り扱いはどうなる?
商品券は金銭類似物であるため、購入時には消費税は課税されません(非課税取引)。
ただし、商品券を使って商品を購入した場合は、その商品に対して消費税が課税されます。
商品券購入時のチェックリスト
チェックポイント | 内容 |
用途の明確化 | 福利厚生/贈答/販促など目的別に処理を分ける |
勘定科目の設定 | 不適切だと税務調査の対象になりやすい |
書類の保存 | 「誰に・何のために・いくら渡したか」の記録必須 |
社内規定の整備 | 従業員配布用は就業規則・慶弔規定を準備 |
金額の妥当性 | 高額だと課税対象となる恐れあり(特に社員・役員) |
まとめ

商品券は、従業員のモチベーション向上、販促施策、関係構築など、幅広いビジネスシーンで有効に使えるツールです。
ただし、その性質上、税務リスクや法的制限が多いため、「誰に・何のために・どのように渡したか」を明確にしておくことが重要です。 会計処理や社内ルールの整備を行い、安心して商品券を活用できる体制を整えていきましょう。