紹介キャンペーンの始め方!成功するキャンペーン設計を全ステップ解説

企業やサービスの認知拡大や集客において、近年注目されているのが「紹介キャンペーン」です。既存顧客が新規顧客を紹介する仕組みで、低コストかつ高効率な集客が可能となるこの手法。しかし、ただ特典を用意して紹介してもらうだけでは成果に結びつきません。本記事では、紹介キャンペーンを初めて導入する方に向けて、企画から実施、改善までの全ステップをわかりやすく解説します。
「広告費をかけずに新規顧客を増やしたい」そんな企業にとって、紹介キャンペーン(リファラルキャンペーン)は非常に有効な施策です。本記事では、紹介キャンペーンの基本から、成功のための設計ステップ、実際の事例までを網羅的に解説します。
始める前に考えるべき3つのこと

紹介キャンペーンを成功させるためには、設計段階から精度高く構想することが重要です。特典や手段の前に、マーケティング戦略の根幹となる「目的・ターゲット・KPI」の3点を明確にしておきましょう。
目的設定(認知拡大・集客増加・CV増加)
まずは、キャンペーンの「ゴール」を明確に設定することが最重要です。紹介キャンペーンの目的は主に以下の3つに分類できます。
- 認知拡大:新規層へのリーチを狙う場合。拡散性の高いSNS投稿型が有効。
- 集客増加:店舗やECサイトへの訪問者数を増やしたい場合。即時性あるクーポン型が有効。
- CV(コンバージョン)増加:実際の申込みや購入を促進する。特典金額や限定性で差別化を図る。
目的が曖昧だと特典設計や告知施策がブレやすくなり、最終的な効果測定も困難になります。施策全体の「指揮棒」として、この段階での目標明確化は欠かせません。
ターゲット設定(紹介者と被紹介者の属性)
キャンペーンの設計では、ターゲットを「紹介者」と「被紹介者」の2軸で設定する必要があります。
■紹介者の分析ポイント:
- 年齢層、性別、SNS利用状況
- サービスへのロイヤルティ(LTVの高さ)
- 他者に勧める動機の有無(満足度・報酬期待)
■被紹介者の分析ポイント:
- どんな悩み・ニーズを持つか
- どの媒体で情報収集するか
- 「誰から紹介されると信頼するか」
たとえばBtoB商材なら、既存顧客の満足度が高くても「紹介してまで得になる」と感じない可能性もあります。このギャップを埋めるための設計が成功を分けます。
KPIの設定と成果指標(SMART、ROAS)
効果測定ができなければ、キャンペーンの価値は証明できません。そこで重要になるのが、具体的なKPIと評価軸の設定です。
■SMARTフレームワーク
- Specific(具体的):例「紹介数50件」
- Measurable(測定可能):Google AnalyticsやCRMで計測可能か
- Achievable(達成可能):現状のユーザー数で実現可能な目標か
- Relevant(関連性):自社の経営目標と直結しているか
- Time-bound(期限設定):3ヶ月以内など
■ROAS(広告費用対効果)の視点も必要
紹介1件に対する特典コスト、被紹介者のLTV(生涯価値)、全体の獲得単価を踏まえた採算計算は必須です。場合によっては、CPA(顧客獲得単価)よりもLTV視点で「赤字OK」の設計も戦略上有効です。
この3つの要素(目的、ターゲット、KPI)は、紹介キャンペーンの“設計図”ともいえる部分です。ここが不十分なまま進めると、「バラまきキャンペーン」になってしまい、効果も測定もできず、継続施策にもつながりません。
次のセクションでは、この設計図をもとに実際の施策構築(特典や告知手段)をステップ別に解説していきます。
成功する紹介キャンペーン設計ステップ

紹介キャンペーンは「やれば効果がある」施策ではありません。設計の精度がすべてを左右します。ここでは4つのステップに分けて、成果を出すための具体的な実行手順を解説します。
ステップ1:特典設計(何を、誰に、どれだけ)
特典設計は紹介キャンペーンの心臓部。魅力的なインセンティブがなければ、ユーザーは動きません。
■特典設計の基本構造
- **両者メリット型(Win-Win)**が基本(例:紹介者に500円、被紹介者に1,000円)
- 初回限定/期間限定などの緊急性を付加するとCV率UP
- 現金・ポイント・サービス内クレジットなど、使い勝手の良さが重要
■金額設定の考え方
- 商品単価の5~10%が一般的
- 「初回無料+紹介者に割引コード」など組み合わせ型も効果的
- 高額すぎると悪用・転売リスクがあるため注意
■避けるべき落とし穴
- 特典条件が複雑(例:「初回購入後30日以内に5,000円以上購入」など)
- 付与タイミングが遅い(リアルタイム or 翌日付与が理想)
ステップ2:紹介手段の選定(URL、QR、SNS)
紹介手段は「ユーザーが紹介しやすいこと」「紹介される側が信頼して参加できること」の両方を満たす必要があります。
■主要な紹介手段
- 専用URLの発行(ユーザー固有のトラッキングリンク)
- QRコードの活用(リアル店舗や紙媒体向け)
- SNSシェア機能(LINE、X(旧Twitter)、Instagramストーリーズ)
■理想的な導線設計
- ワンクリックで紹介リンクがコピー可能
- スマホで完結するUI(例:LINE経由→LP遷移→CV)
- 紹介ページに“紹介者の顔”が見えるような構成(信頼感向上)
■実務的Tips
- リファラルツール導入(Repro、ReferralCandyなど)で効率化
- 紹介回数制限・不正利用対策も初期から仕込んでおく
ステップ3:告知方法の設計(LP、広告、SNS投稿)
キャンペーンを“知ってもらう”ための告知設計も、成果に直結する重要要素です。
■LP(ランディングページ)の設計ポイント
- ファーストビューで特典と導線を明示
- スマホでの読みやすさ重視(縦スクロール型が基本)
- ユーザーの声やレビュー掲載で安心感を
■広告・SNS告知のコツ
- 「○○さんからの紹介です」という文言を強調(信頼を活用)
- インフルエンサーとの連携(相互紹介モデル)
- メールマガジンやアプリ通知での定期告知も効果的
■タイミングの工夫
- 新生活・年末年始・イベント時期など「紹介したくなるタイミング」を活用
- サービス利用直後(NPS高いタイミング)で誘導するのがベスト
ステップ4:計測・分析フローの整備(GA、CRM連携)
キャンペーンは“打って終わり”ではありません。成果を測定し、改善につなげる体制の構築が欠かせません。
■最低限押さえるべき指標
- 紹介リンククリック数
- 被紹介者のCV率
- 1件あたりの獲得単価(CPA)
- 紹介者のリピート率(紹介者もLTVを伸ばせているか)
■ツールの活用
- Google Analytics(GA4):流入元別のコンバージョン追跡
- CRM(Salesforce、HubSpotなど):紹介者と成果の紐づけ
- MA(マーケティングオートメーション):タイミング通知やフォローアップ自動化
■改善のPDCAをまわす
- 週次・月次でレポート確認
- 特典変更、告知文言、配布タイミングをA/Bテスト
- 「紹介者の声」を回収し改善に活かす
以上の4ステップを網羅的に設計・実行することで、紹介キャンペーンは「一過性の集客」から「再現性のある成長施策」へと昇華します。特に中長期で回る施策としては、LTV・信頼構築・顧客の熱量などを意識した細部設計が差を生みます。
成功企業のキャンペーン実例

実際に成果を上げている企業の紹介キャンペーンは、どのような構造で成功しているのか。以下では、特典設計・導線設計・告知戦略の3つの観点から、代表的な事例を紹介・分析します。
楽天モバイル:QR紹介と7,000pt還元

https://network.mobile.rakuten.co.jp/campaign/referral
■施策概要
楽天モバイルは、既存ユーザーが発行するQRコードや紹介リンクを通じて新規契約者を獲得すると、紹介者と被紹介者の双方に楽天ポイントを最大7,000ポイント付与するキャンペーンを展開。
■成功要因
- 特典が「即日付与」&楽天市場で使える:ユーザーにとって使い勝手が良く、モチベーションが高まりやすい。
- 紹介導線がシンプル:紹介リンク/QRの発行が楽天モバイルアプリ内で完結。紹介のハードルが極めて低い。
- ポイント経済圏を活かした戦略:楽天ユーザーのLTVが高いため、多少のコスト増も全体最適で黒字化できる設計。
■ポイント
楽天モバイルは、単に特典を出すだけでなく、「既存ユーザーの熱量をキャンペーンに転化する設計」が非常に秀逸。紹介者が“応援者”として自発的に動く構造を作っています。
MYPROTEIN:初回購入クーポン+紹介者にも還元

https://www.myprotein.jp/c/referrals
■施策概要
イギリス発の人気プロテインブランド「MYPROTEIN」は、既存ユーザーが紹介した新規ユーザーに初回購入クーポンを提供し、紹介者には購入金額に応じたポイント還元を実施。
■成功要因
- ポイント制によるリピート促進:紹介者にはストア内ポイントが還元されるため、自然と再購入につながる。
- マイクロインフルエンサー活用:筋トレ系YouTuberやInstagrammerが自発的に紹介リンクをシェア。UGC(ユーザー生成コンテンツ)型の拡散が実現。
- ローカライズされたLP設計:日本語・日本価格に対応した紹介ページで、被紹介者の離脱率が低下。
■ポイント
紹介=新規獲得+リピーター創出という“二重投資回収型モデル”になっており、LTV設計の教科書とも言える仕組みです。

まとめ
紹介キャンペーンの成功には、「誰が」「誰に」「どうやって紹介するか」の3要素を、サービス構造やユーザー属性に合わせて精緻に設計することが欠かせません。
自社のビジネスモデルや客単価、ブランド戦略に合わせて、最適な紹介キャンペーンを設計していきましょう。設計次第で、紹介は「無料広告」ではなく「再現可能な成長戦略」に進化します。