ビジネスシーンで使えるお詫びの品のマナー大全|送るべきものの価格や文例・注意点などを解説

ビジネスの現場では、思わぬミスやトラブルが発生することもあります。そんなとき、大切なのは“誠意ある対応”。その一環として「お詫びの品」を贈る場面もあるでしょう。とはいえ、どんな品を、どのように、いくらくらいで贈るべきか悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、ビジネスシーンで使えるお詫びの品に関するマナーや価格相場、渡し方、添える言葉までわかりやすく解説します。
ビジネスで喜ばれるお詫びの品と価格相場

菓子折り(洋菓子・和菓子)|定番で無難
お詫びの品として最も定番なのが菓子折りです。洋菓子であればクッキーやマドレーヌ、和菓子なら羊羹や最中などがよく選ばれます。個包装になっているものは配布しやすく、職場などでも喜ばれます。
タオル・消耗品|実用性で気を遣わせない
タオルやハンドソープ、茶葉などの消耗品も好まれる選択肢です。日常的に使えるものは気を遣わせず、「気持ちだけ受け取ってください」というスタンスを示すことができます。
価格の目安(1,000円〜3,000円程度)とシーン別一覧表
ビジネスでの謝罪には、相手に気を遣わせない1,000〜3,000円程度の価格帯が一般的です。
シーン | 目安金額 |
---|---|
軽微なミス(社内) | 1,000円前後 |
納期遅れ・書類不備など | 2,000〜3,000円 |
クレーム対応・信頼失墜時 | 3,000円以上(丁寧な包装を) |
NG例:高価すぎる品・現金・商品券
高級ブランド品や現金、商品券などは相手に気を遣わせたり、かえって失礼に当たる場合があります。ビジネスマナーの観点からも、現金相当のものは避けるのが無難です。
ケース別 お詫びの品ガイド

納品遅れや対応ミスでの謝罪
納品遅れや連絡の不備によって相手に迷惑をかけた場合は、できるだけ早く誠意を示すことが大切です。比較的軽微なミスであれば、2,000円前後の菓子折りを持参して、口頭での謝罪と共に渡すのが基本です。洋菓子なら焼き菓子セット、和菓子なら上品な最中やどら焼きなどがよく選ばれています。なお、再発防止のための対応策も口頭・文面でしっかり伝えることがポイントです。
社内でのトラブル・報連相ミスのフォロー
社内の場合は過剰な贈り物がかえって気を遣わせてしまうため、ささやかな「気持ち」の品にとどめましょう。例えば、個包装のキャンディーやお茶パックなどが人気です。特に後輩や同僚に対しては、「今後気を付ける」という姿勢を示すことが大切で、品物は形式的な意味合いに留めるのが無難です。直属の上司への謝罪には、手書きのメモを添えると好印象です。
クレーム対応後の関係修復を図る場合
クレームが発生した場合は、信頼を回復するための一歩として、お詫びの品が非常に効果を持つことがあります。この場合は菓子折りに加えて、担当者名義での丁寧な謝罪文を添えることが重要です。品物は、格式のある和菓子や個包装された焼き菓子などが適しており、受け取る側が分けやすいよう配慮されたものを選びましょう。また、送り状に「心ばかりですが」などの控えめな言い回しを加えると、より丁寧な印象を与えます。
書類不備・情報漏洩など重大ミス時
重大なトラブル時には、形式的な謝罪だけでは信頼回復は難しくなります。このようなケースでは、上司や責任者が同行して訪問し、丁寧に謝罪を行うのが基本です。お詫びの品も、きちんとした体裁のものを選ぶ必要があります。高級感のある和菓子、上品な今治タオルの詰め合わせ、落ち着いた色合いの贈答品などが適しています。また、企業としての再発防止策を明記した報告書や改善提案などをセットで持参することで、信頼を再構築する姿勢をアピールできます。
添える言葉と文例集

手渡しする場合の一言例
「本日は貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございます。このたびの件につきまして、心よりお詫び申し上げます。こちらはほんの気持ちですが、どうかお受け取りください。」
その他の例
- 「ささやかではございますが、お納めいただければ幸いです。」
- 「お手を煩わせてしまい恐縮ですが、どうぞご査収ください。」
- 「今後はこのようなことのないよう、誠心誠意努めてまいります。」
同封する謝罪状の構成と文例(フォーマル・カジュアル)
- 頭語と時候の挨拶
- 謝罪の言葉と事実説明
- 再発防止策や今後の対応
- 締めの言葉
【フォーマル文例】
拝啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは弊社の不手際により、多大なるご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
今後はこのようなことが二度と起こらぬよう、社内体制を見直し、再発防止に努めてまいる所存でございます。
略儀ながら書中をもちましてお詫び申し上げます。
敬具
【カジュアル文例(社内向け)】
○○さんへ
このたびは私の確認不足でご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。
今後は確認作業を徹底し、再発を防ぐよう努めます。
ささやかながら、気持ちとして○○をお渡しさせていただきます。
どうぞお納めください。
メールで送る場合の文章例と注意点

件名:【お詫び】納品遅延の件について
本文:
○○様 いつも大変お世話になっております。
株式会社○○の△△です。
このたびは、弊社の納品遅延により、ご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
つきましては、本日お詫びの品を発送させていただきました。
ささやかながら、誠意の印としてご査収賜れれば幸いです。
今後このようなことのないよう、再発防止に努めてまいります。
何卒ご容赦のほど、よろしくお願い申し上げます。
- メールのトーンは丁寧かつ簡潔に
- 感情的表現は避け、謝罪・対応策・発送報告を明確に
- 先方が上位顧客である場合は、電話で一報を入れるのが望ましい
ビジネス文書のマナー(敬語・結び言葉など)
【基本の敬語表現】
- 誤った表現:「申し訳ございませんでしたでした」→重複に注意
- 正しい表現:「ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」
- 丁寧な言い換え:「すみません」→「申し訳ございません」
【結びの言葉例】
- 「今後とも変わらぬご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。」
- 「末筆ながら、皆様のご健勝とご発展をお祈り申し上げます。」
- 「まずは書中にてお詫び申し上げます。」
【添え状や手紙に使える言い回し】
- 「心ばかりの品ですが、お納めいただけますと幸いです。」
- 「ささやかながら、感謝とお詫びの気持ちを込めてご用意いたしました。」
- 「このたびのご迷惑に対し、重ねてお詫び申し上げます。」

まとめ|ビジネスマナーを押さえたお詫びの品とは?
お詫びの品選びに迷ったときは、相手に負担をかけないかどうかを判断基準にしましょう。シンプルで消えもの(食べ物・消耗品)が安心です。高価すぎる品や意味が伝わりにくい贈り物は避け、謝罪の意図がきちんと伝わるものを心がけましょう。
最も大切なのは、誠意と反省の気持ちをしっかり伝えること。お詫びの品は、その気持ちをサポートするツールとして活用しましょう。品物に添える言葉や対応のタイミングが信頼回復の鍵を握っています。